先週、スクールカウンセラーの先生に、1時間20分、話した海。
たぶん、家族以外の人に自分の気持ちを話したのは初めてかも。
こんなに一人で話し続ける海を見たのは私は初めてだった。
その中でも、前学校の話がほとんど。
先生が「前の学校と、ここは何か違う?」と聞かれて、
「全然違う!人数も違うし、先生も違う。校庭の広さも違う。…あ、いろいろ違う…」
と違うことに気づいた海。


スクールカウンセラーの先生に
「先生、ココの学校のこと知らないから、次来た時はいろいろ教えてくれる?」と言われ、嬉しそうに返事。
スクールカウンセラーの先生から私には
「まだ前の学校に心も体も残っていますね。“転校した”ということも、まだ意識化できていない感じ。この学校のことを前の学校への腰掛…フリースクールみたいな感じでとらえているんだと思います。もう転校したんだ、この学校の子どもだって意識させることが必要かもしれません。」
と言われる。


たしかに…という思いが私の中によぎる。



それでも、その翌日から初めて2日間、私の付き添いなしで一人で学校に行けた。
朝はやはり不安そうだったけど、「保健室の先生に聞くことなんだったっけ?いっぱい保健室の先生とおしゃべりしておいで」と楽しそうに話しかけ、なんとか登校。

保健室の先生に「いろいろ聞いてくる!」と言って、最後は笑顔。

車を降りて、靴箱に向かう途中、2階の子どもたちが「あ!海ちゃんだ~!」と気づいて、みんなが窓から「おはよう~!」と手を振ってくれる。それにちょっとこわばっていた海の表情が少し緩む。

保健室の先生と教頭先生がお出迎え。

保健室の先生と海が話している間に「いってらっしゃい」とそっと離れようか…と考えていた私の方を
海が振り返って…

「お母さん、行ってきます。」


ビックリして…でも、「…うん、いってらっしゃい」と笑顔で別れる。


車に乗ってから、声を掛けてくれた子どもたちに…温かい笑顔で迎えてくださった先生方に、それに応えようと頑張っている海に、思わず涙が出てしまった。
ありがたくて、嬉しくて、車の中で泣いてしまった。


そこから、2日間、行けそうな授業は「行く!」と言って参加。
疲れてくると、保健室で休んだり、本を読んだりして過ごして、自分の体調を見ながら休憩を取れるようになってきた。これは先生が「行く?それとも休む?」と選択させてくれているおかげ。給食も保健室で食べられるようになった。
何より、学校に海が頼れる心のよりどころとなる先生がいてくださるのが一番心強い。


2日間頑張った海。
その週末は連休の前半で3日間お休み。
土日は、家の中だけで過ごす。YouTubeばかり見ている。
日曜はサーカスに誘うが、人が多いところだったり、大きな音がするところなので、行きたがらず、私と洋で行くことにした。
ずっと家の中…たぶん外に向けるだけの気力も体力も残されてなかったんだろう。
連休最終日の月曜日の午後、近くで餅まきがあったので、行ってみた。

前学校でのお友達にもあったけれど、それどころではない海の様子。

餅まきのにぎやかさも今はダメなよう。


でも、少し体を動かした方が気分もすっきりしそうな気がして、洋と二人で30分でもいいから外へ行っておいでと声を掛ける。
自転車で近くの公園や神社まで行って、
「楽しかった…!」
と戻ってきた。

夜ごはんの時になると、
「あ~…いやだぁ、明日学校!あぁ~!いやだ~」と連呼。

でも、以前はこんな気持ちさえも口に出すことができなかったので、これはこれでいいことだと思う。


翌朝、案の定、泣きながら起きる。

牛乳を枕元まで持っていて飲ませながら、今度の連休のキャンプについて話す。
去年の写真を見ながら、話しているとちょっと気分も上がる。

ようやく起床。

なんとかご飯を食べながらも、気分が悪い様子。
だが、そこは見つつ見ないフリ。

突然「…でも、私一人で学校行けたよね?」
と言い出す。

「うん、海は頑張ってる。本当に一人で行けてすごいよ。」

登校までの空き時間はYouTubeで気を紛らわせる。
車に乗り込むのもつらそうなので、荷物は私が持って、とりあえず乗せる。

さぁ、登校。

靴箱で「…なんて言えばいいのかな?」と不安に襲われている。

できるだけ明るめに、でも上げ過ぎずに「『保健室に行きたいです』って言えばいいよ。」と話す。

保健室の先生に手短に週末のこと朝のことを話し、海を託す。


明日は午後から保健室の先生が不在だそう。
海は予告をしたら不安が増すので、とりあえず私だけへの情報。

どうなるだろう。


よりどころである先生に今はどっぷり頼っている海。
先生だってお休みの時や不在の時があるのはわかっていた。その時、どうすればいいか…と考えていたけれどいい答えは浮かばない。


今は、本当にまだまだ切れそうなほど細い綱渡りの板の上をなんとか歩いている感覚。
まだまだ何かの拍子にダメになりそうな…。


これが、分厚くて広いどっしりした足場になるのはいつのことなんだろう。


自分が不安になると海の不安は増す。

長い先のことを心配しすぎても仕方がない。
まずは今日一日を、しっかり積み重ねること。

そう自分に言い聞かせる毎日。